騒がしい序章

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放課後… 今日は新入生の入学式もあったのが関係したのか、午前中の授業だけで終わった。 普通の生徒ならとっくに帰ったり部活に行ったりと別れるのだが、普通じゃない春休みの宿題を忘れた者とかは、教室にて必死にそれを終わらせている。 俺の教室にも、そんな人間が若干一人居る…… つまり、今の俺のことね。 「だぁぁぁぁっ!全っ然終わらねぇよ!」 カリカリとシャーペンを走らせていた俺だが、しばらくして堪えられなくなったので頭をガシガシ掻き毟りながら立ち上がった。 しかし、周りには先生はもちろん、生徒なんか俺を除いて一人も居ない。 強いて言うなら、クラスで飼育しているミドリガメのモスラが居るくらいだ。 なんでカメなのにモスラなのかは俺にもわからない。どうせならガメラとかにしろというツッコミは何故か読者を除いてなかった。 まぁとにかく、モスラしか居ない教室で騒いでいても仕方がないので、俺は座って再びペンを走らせる。 さっきからこの行動をかれこれ7回やっている。 「あー!くそ!後の課題はこれだけなのに、よりにもよって何で数学なんだよ!」 因みに、数学は俺の苦手分野である。 記憶力には自信があり、地理とかの暗記問題なら得意なんだが、数学だけはどうも苦手だ。 公式を覚えるまでは良いんだが、それを利用して計算というのがどうも苦手だ。 「えっと、正弦定理よりサイン……あーもう!わかるかこんなの!」 再び頭を掻き毟り立ち上がる。 これで8回目……そう考えた瞬間に、不意に教室の扉が開いた。 「……誰か居るんですか?」 「え……?」
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