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扉の先に居たのは一人の女子。
俺が騒いでたのを聞いてしまったのだろうか、不思議そうな表情をしている。
その女子は、眼鏡を付けて、桜を連想させる桃色の長い髪を一つにまとめていた。
(……なんかすっごい地味な印象だな)
率直な感想が頭に浮かぶ。
校章の色は、俺と同じ赤色なのだが、あまり見覚えがない。
(ウチのクラスじゃない…よな?)
ここまで見覚えがないということは、1年の時も違うクラスだったのだろう。
そんなことを考えていると、その少女が口を開いた。
「あの……何をしているんですか……?」
少し気まずそうに……いや、緊張してるのかもしれないな。とりあえず挙動不振になりながらも少女が尋ねて来た。
「あ……俺は春休みの宿題をやり忘れてさ。今やってたんだよ。君は?」
答えるついでに自分の質問をちゃっかりする俺。
すると、相手はまた挙動不振になり、
「わ、私はちょっと先生のお手伝いで残ってたんです……それで今廊下を通ったら大きい声が聞こえたから……」
スマン、その声の主は俺だ。
とりあえずそんなことを思いながら、俺は彼女の名前を知らないことを思い出し、名前を尋ねることにした。
「そういえば君は?俺は水無月アキラっていうんだ」
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