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「……マジ?」
今、俺は心底驚いた顔をしているだろう。
男性恐怖症なんて、漫画とかドラマだけかと思っていたけど、目の前に実物が現れるとは思ってもいなかった。
「じ、じゃあ男の友達とかあまり居ないの?」
「はい……実は今こうやって喋っているだけでも少し怖いんです」
そう言われて俺は初めて気が付いた。
よく桜井の身体を見ていると、震えているのがわかる。
(本当に男がダメなんだな…)
さて、どうしたものか……
男が苦手ってことは今俺と話してるのも辛いよな。
「そっか……なんか悪いな。何にもできなくて」
「い、いえ!私が悪いんです……本当にごめんなさい……」
そう言って桜井は申し訳なさそうに頭を下げる。
そんなことをされても逆に困るので、とりあえず“頭を上げて”としか言えなかった。
「本当にごめんなさい……」
「気にしないでいいって。もしまた話す機会があればその時に話そう」
「は……はい!それじゃ、私は用事があるので…さようなら!」
そう言うと、桜井は駆け足で去って行った。
心なしか、なんとなくその時の桜井の表情は柔らかく、嬉しそうに見えた。
「……やべ、さっさと宿題やらなきゃな」
これが俺と彼女の最初の会話だった…
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