雨降りしきる夕暮れの朝

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『目覚めの光』を人々が見るその数時間前…   1999年12月31日ー   世界は平和だった。争いは絶えず起きていたが、今この日本は戦争もなく、日々同じような生活をしていた。 人々は動き回り、車が駆け回る。地下には電車が走り、夜も明るい。     ある男、名を白雲(シラクモ)という。 白雲は人間の中のごく一部で、普通の男。 歳は20、夢はとくにない。毎日無駄な生活を送っていた。   白雲は本名ではない。あるとき白雲はこのちっぽけな存在から変わるため髪を白く染めた。まるで頭の上に白い雲がのっているように見えた。 それからだ。自分が白雲だと呼ばれ始めたのは… ちっぽけな存在は変わらなかったが周りの視線は自分に向いた。 しかし、人は離れていった。気違いと思われていたのかもしれない。     大晦日。白雲が家に帰る途中、雨が降り出した。 傘を持っていなかった白雲は雨に濡れる事も気にせず一定のぺースで歩きつづけた。   雨は激しさを増し、周りの音もだんだん掻き消されていった。ただ単に何か考えていたのかもしれない。 白雲は無表情で歩きつづけた。   気づいたときにはどこか分からない場所にでていた。白雲は一つため息をつき、歩いて来た道を戻ろうとした。     白雲は白い光に包まれた。
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