109人が本棚に入れています
本棚に追加
《シュナイダーから小隊全車へ、十二時方向に砂塵!おそらく、重戦車を含む敵戦車部隊と思われる各車、喰われるなよ!》
《大丈夫です、隊長。逆に喰ってやります。》
と部下達の頼もしい返事が返る。
「ドライバー、全速前進。」
ドライバーが返事し、ギアを変えて加速していく。部下達の戦車もシュナイダー車の後を追い、加速していく。
シュナイダー少尉はハッチから顔を出し、周囲を見渡す。スピードを出しているので砂塵が激しく舞うおそらく、向こうもこちらに気付いただろう。
「装填手、別命あるまで徹甲榴弾を装填。砲手は命令まで撃つな!」
それぞれが了解の復唱。装填手が徹甲榴弾を装填し、閉鎖機が閉じる。
「装填完了!」
装填手が叫び、次弾を抱える。シュナイダーはハッチから顔を出して双眼鏡を覗く。双眼鏡の向こう微かに見える敵の影…。
「目標視認、射撃許可を!」
照準器を覗いたまま砲手が叫ぶ。しかし、シュナイダーは
「砲手、まだだ。もっと近寄るまで待て。」
(まだまだ…マチルダ重戦車ならばもっと近寄らなければ…撃破は出来ない…)
最初のコメントを投稿しよう!