アフリカ戦線~第2小隊戦記

4/10
前へ
/116ページ
次へ
その時、砂漠の南からエンジン音と履帯の擦れる音が響いてきた。シュナイダーが双眼鏡を向けると砂塵を巻き上げて、英軍戦車が6両ばく進してくるのが見えた。 (あれは…マチルダ重戦車ではないな、巡航戦車か…) 《小隊長から各車、第一弾を装填弾種徹甲榴弾。攻撃開始は小隊長が命令する。停止!》 シュナイダー少尉が怒鳴り、急制動をかけられた戦車は前のめりになり停止した。他の戦車も停止する。 《十二時方向、 距離1000。撃てぇ!》 砲手が手早く微調整すると三号戦車の50ミリ戦車砲が吠えた。車体はふるえ、砲尾が後座し、硝煙をまといつかせて、焼けた50ミリ徹甲榴弾の薬きょうが自動排出される。 第2小隊、4両の三号戦車と1両の二号戦車がほぼいっせいに発砲する。砲弾は先頭の巡航戦車に瞬時に集中し、50ミリ徹甲榴弾が2発、戦車を貫く。 衝撃波が爆煙を吹き飛ばし、砲弾の誘爆が続けて起こった。大爆発で砲搭が跳ねあがり、さかさまになって放り出される。 砲搭がなくなった戦車は、車体から高温の炎を吹き上げていた。 後続の敵戦車は急停止し、第2小隊に主砲を向け、それぞれ発砲。三号戦車に徹甲弾を次々命中させた。image=231622329.jpg
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加