イワシ缶の意地

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  「撃てーっ!」 少尉の雄叫びと共に32口径47ミリ砲がオレンジ色の発砲炎を閃かせながら、 砲兵陣地に砲弾が落ちる。 たまたま停めていた牽引車が被弾、炎上した。 「敵牽引車、撃破! 引き続き砲兵陣地に射撃!」 「了解、任せて下さい。」 砲手が、 照準機を覗きながら答える。 砲手は装填の合間に機銃を撃ち、車体機銃も牽制するように撃ち続ける。 「方位そのまま 距離250、撃てっ!」 再び発砲。今回は走りながらの発砲のため、砲兵陣地のだいぶ前に榴弾が落ちる。 「やはり、 走りながらは当たらんか…」 ブスブスと砂袋を貫き、 カツカツと装甲板を叩く。 敵の対戦車銃が当たっているのだ。
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