イワシ缶の意地

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  すぐにハッチを閉め、ペリオスコープを見直す。 そして敵の小銃弾、機銃弾が砲搭を叩く。 「砲手、 助かった、ありがとう。」 腰に拳銃をしまいながら、砲手に礼を言う。 「大丈夫です。 このお礼はワインで。」 砲手はニヤリッと笑った。 「勘弁してくれ…」 少尉が苦笑いしながら答える。 部下の戦車が発砲。25ポンド砲に命中する。 《こちら三号車、 25ポンド砲を撃破!》 《三号車、よくやった! 後で英製コンビーフをおごってやる。》 《はっ、有り難うございます!》 《ただし、 陣地制圧後に滷獲したやつな。》 《そんなぁ… はぁ、はぁ…》 部下の溜め息混じりの無線を聞きながら思う。
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