イワシ缶の意地

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  (もう息があがっていやがる。 ハッチを閉め、砂丘を機動しながら連射すれば、あっという間に車内温度があがり、空気は濁る。 座って指揮をしているだけの車長がこれなら、 装填手は危ないかもしれない。すぐに決着つけなけりゃな…。) 《小隊長から各車へ、 そろそろ歩兵隊が陣地を襲撃するはずだ。 小隊突撃、我に続け!》 「操縦手、全速前進!」 「はいっ!」 クラッチを一気に増速し、英軍砲兵陣地に突撃する。 「停止ぃっ!撃てぇ!!」 少尉の叫びが車内に響く。 急制動、車内の振動がおさまりしだいに発砲。 砲弾は25ポンド砲には直撃しなかったが、爆風で砲兵を薙ぎ倒した。 「よし、あと二つ!」 少尉が勝利を確信したその時であった…
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