イワシ缶の意地

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  「あの少尉…?」 「んっ、あぁ… なんだ?」 砲搭に座り込み煙草を煙らせていた少尉が煙草を吸いながら、振り向く。 「おお、随分と大漁だな。」 「少尉も戦利品の分配の時にくればよかったんですよ。」 木箱に一杯の戦利品を抱え、笑顔の砲手と装填手が帰ってきた。 使えるモノは全て勝者が頂く。それがアフリカ戦線だ。 捕獲した車輌は25ポンド砲牽引車が4両、25ポンド砲が1門、小火器を多数。 車輌は牽引車だったため、砲兵部隊に25ポンド砲ごと渡された。 そして兵達に人気の肉の缶詰、煙草や酒の嗜好品。 特に米産煙草が人気だった。 「とりあえず木箱を戦車に載せるぞ、それっ。」 戦車の機関室の上に載せる。木箱は2つ、針金で縛って固定する。 コロンと何かが木箱から転がる。少尉は拾い見つめた。
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