ピエロ

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「ふうっ」と僕はため息をついた。今日の合コンも始終盛り上げ役を務めていた。気がついたら友人の織田と二人っきり。いつものパターンだ。「これで女の子の分も飲み代負担だもんな-敵わないよ」と織田がそだちの良さそうな顔をゆがめてぼやく。織田の先祖は大名で、立ち振る舞いにどこと無く気品があるように感じる。「まぁ、仕方ないよ、奴らとは出生が違うから・・・」 そう、この日本は憲法上は皆、平等だけど実際は違う。昔から一部の詭弁者が多くの人間の犠牲の上にあぐらをかいているのだ。 僕は昔の事を思い出して思わず拳をにぎった。 「まぁ、やつらはこれから修業に入るから大変だぜ、その点、俺らは気楽じゃ。」と織田は言った。 僕は黙って頷いた。 そのかわり、彼等の為には悲しみも苦しみも笑いに変えるピエロにならなくてはならない時もあるのだ。
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