第二章

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「治療法としては、二つあります。まずこのまま引き続き入院してもらい、放射線と抗生物質で治療するか、抗生物質のみで治療していくかの二つになります。」 「この二つの違いとしては、前者は約3ヶ月、長くて1年の延命が見込まれます。ただしほとんどが入院。加えて激しい副作用が伴います。 次に後者ですが、、、これは通院と言う形になり、副作用も前者に比べればあまりありません。ただし、延命は余り見込まれません。」 「伸、あなたが決めなさい。あなたの人生なんだから。私は、支えてあげるくらいしか出来ないから。」 そう言って母は涙を零した。 俺はその時、自分のことより、いままで女手一人で育ててきた母にきちんとした親孝行ができなかったことが悔しかった。 父を早くに亡くし、それでも精一杯の愛情を与え、片親の寂しさなんて微塵も感じなかった。 母にとっては、俺は人生の全てに等しかったのだ。 それを亡くす。 それがどれだけ苦しいことなのか、命の決断を任せる。それがどれだけ辛いことなねか、俺には計り知れない。 そして、俺の答えは決まっていた。
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