第二章

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「母さん、俺は例え延命が出来ないとしても通院と言う方法を選ぶよ。」 「後悔したくないんだ。自分にも、母さんにたいしても。俺は、残された時間でいろいろなものを見たいし体験したい。この目で、この体で、俺が生きていた証を遺したいんだ。」 思うんだ、死を突き付けられてそれまでの世界が崩れ落ちて暗闇になったって光はきっとある。 「そう決めたんならやりたいようにしなさい。」 希望を持って明るく振る舞うことは出来ないけどさ。 「母さんは一生懸命サポートするね。」 ほら、母さん涙溜めながら笑うでしょ。 そんな顔されたら笑うしかないじゃないか。 だから、俺も少し笑うよ。 上を向いて歩く勇気はないけど下を向いて歩く卑屈さは持ち合わせてないからさ。 だからもう少しだけ母さんの息子でいさせてくれよ。
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