雨に

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  雨は人の悲しみを流してくれるかもしれない   心の傷だって―     憎しみだって   慈しみだって、   悲しみだって   怒りだって   痛みだって   妬みだって   嫉みだって   流してしまえる―   そんな力が雨にはある。   けれど、雨に流されることなく 留まり、淀み続け、   増殖していくだけの   憎しみ、悲しみ、慈しみ、痛み、怒り、妬み、嫉み、   だって、   あるんだ   いっそのこと、全て流れてしまったらどれだけ楽なのか。   そう願ってもやはり、   流れることなく   あり続けるのは   私がそれを後悔しているからだろうか。   それらの単なる、「思い」に『想い』続けているからだろうか。     だから、   それでも、   流れないのは、    もはや   他人ではなく   自らに想いがあるからかね。   思いに想い続けるのは私だけで、  貴方は関係ない。     雨に流されることのない、   想いを持ってしまった   私は   いつも雨を見ると   流させない想いを持ってしまった私が憎くて、   仕方がなくて、辛くて、どうにかしたいと願い       この想いを   決して流してはくれない雨を     酷く、恨む。       それでも、雨は   たくさんの人の傷を癒し、   流していく。         そして、     恨みつつも、   雨を見て、     綻ぶ私は         雨に         恋をしているのかもしれない。    貴方へと同じ様に。   
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