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電話、してみます
おもむろに秀ちゃんの携帯を奪ったあたしは、電話帳を開いた。
「なんて名前?その娘。」
「は?掛けんのかよ?悪いの俺だし……」
いい加減さ、腹を括るんだよ…男なんだしさぁ…
「俺がさ、ブツブツ…」
プチッ。
「さっさと名前言えや!ハゲ!こっちはハッキリしないと気が済まないんじゃぁ」
(どんな女の子か気になると言う意味で:心の声)
秀ちゃんはハゲてはいない。
あたしの口が滑っただけなの。えへへっ
「ゆみ…さん」
「ゆみさん…?へ~。さん、ねぇ」
不気味に微笑むあたしを見た秀ちゃんは、本当に恐怖を感じたのではないだろうか。
~プルル プルル~
「はぃはぃ?どうしたの?」
ゆみさんは低めのハッキリとした喋り方をする人だった。
「あの…はじめまして。秀ちゃんの…」
「誰?」
こわっ!
相手が恐い人とは想定外だぞ。どうしよう。よし!
「秀ちゃんの幼なじみの春奈と言います。はじめまして。彼女さんですか?」
秀ちゃんはギョッとして、携帯を奪い返しにかかった。あたしは小声で
「大丈夫だから。待ってて」
と言い、逃げながらゆみさんとの会話を続けた。
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