電話、してみます

1/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

電話、してみます

  おもむろに秀ちゃんの携帯を奪ったあたしは、電話帳を開いた。 「なんて名前?その娘。」 「は?掛けんのかよ?悪いの俺だし……」 いい加減さ、腹を括るんだよ…男なんだしさぁ… 「俺がさ、ブツブツ…」 プチッ。 「さっさと名前言えや!ハゲ!こっちはハッキリしないと気が済まないんじゃぁ」 (どんな女の子か気になると言う意味で:心の声) 秀ちゃんはハゲてはいない。 あたしの口が滑っただけなの。えへへっ 「ゆみ…さん」 「ゆみさん…?へ~。さん、ねぇ」 不気味に微笑むあたしを見た秀ちゃんは、本当に恐怖を感じたのではないだろうか。 ~プルル プルル~ 「はぃはぃ?どうしたの?」 ゆみさんは低めのハッキリとした喋り方をする人だった。 「あの…はじめまして。秀ちゃんの…」 「誰?」 こわっ! 相手が恐い人とは想定外だぞ。どうしよう。よし! 「秀ちゃんの幼なじみの春奈と言います。はじめまして。彼女さんですか?」 秀ちゃんはギョッとして、携帯を奪い返しにかかった。あたしは小声で 「大丈夫だから。待ってて」 と言い、逃げながらゆみさんとの会話を続けた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!