【不安定なリン】

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リンの容貌が変化する 黒曜石の瞳に戻り 再び表情が消え 抑揚の無い 無味乾燥な声が データを告げてゆく リ「外部一般市民トノ  接触ニ於ケル収集データ報告  マダ少数デアルタメ不完全  デスガ ヨロシイデスカ?」 ハ「いいよ 報告を頼む」 リ「イエス マスター  報告ヲ行イマス」 ハ「……」 リ「《一般市民ニ置ケル認識》  “ろぼっと”トハ  不完全デアリ暴走ノ危険性  ガ有ル為 隔離及ビ抑制ガ  必要デアルトノ見解ヲ持チ  全般ニ於イテ懐疑的カツ  否定的  ソノ存在自体ヲ排斥モシクハ  抹消シテシマイタイト考テイ…」 ハ「もういい リン  次は主観的でいいから  “君”の《意見》が  聞きたい」 ハルは報告を強引に遮って 改めて質問する ハ「リンは  彼等をどう思った?  分析や評価じゃなく  感想が聞きたい」 リ「感想ガ…  感想トハ何デスカ?」 ハ「そうだな  データの解析じゃなく  人間でいう処の直感  というか…  あの時の会話の中で  彼等に対してリンは  どんな印象を受けた?  どんなふうに思った?」 リ「………」 ハ「出てきなさい  僕はコンピュータと会話する  つもりは無い  “リン”と話したい」 これまで一度も見せた事の 無い厳しさで命令する 不安そうに見つめる二人 張り詰めた緊張の中… ゆっくりと瞬きをし 濃紫の瞳に戻ったリンが 口を開いた リ「人間は機械を…  ううん 違う  私を嫌いなんだ」
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