イギリスの孤児

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  「あぁ?」 「なにナマイキな口きぃーんだよッ、逆らえると思ってンのかガキが!!」 「独創性のないヤツらだな。個性と気品の溢れる口をきけない馬鹿に、ナマイキだのと宣われたかないね」 「ごちゃごちゃウルセェッ!!」  あくまで冷静に言い切るユナに、男は怒気を爆発させる。  思うような反応を得られないことで、苛立ちが男達を支配した。  なぜこの女は怯えない。  平然と構えるその姿が、嘲笑われるよりも不快だ。 「煩いのが嫌いなら、一発殴って黙らせちゃえば?あたし的には大歓迎」  あまつさえ、この挑発。  マヤを捕らえた男が乱暴に彼女を相方に投げ付け、ユナに手を伸ばした。  今までの女達と同じように、泣き叫ぶまで痛め付けてやる。嗜虐心をあらわに、ユナの首元を掴もうとした、その刹那。  男の行動を完全に読んでいたユナは、掴まれるよりも早く動いた。  伸ばされた手を軽い動作で払い、隙だらけの腹部に捩り込むような掌打を入れた。一瞬、男の息が詰まる。  ヒュ、と呼吸が止まり、混乱している間にユナは払った腕を掴み、膝で第二撃を食らわす。  男の呻きと、鈍い音が力の程を伝えた。 「がはッ…!!」  前のめりになったところに止めの肘鉄。それは容赦無く、男の背に打ち落とされた。 「……ッ!!!」  既に悲鳴さえもない。  白目を剥いて男は地面へと派手に倒れていった。  その一連の動きの、早い事。  鮮やかな手際に、残った男が茫然として地面に転がった仲間を見ていた。 「さぁて」  その仲間に片足をのせ、ユナがニタリと笑う。 「次はアンタだ」  心なしか極悪オーラが見える。  パンッ、とユナが掌に拳を打つと、弾かれたように相方の男はユナの方へとマヤを突き飛ばした。 「なっ、何なんだよこの女ッ」 「この女、っての失礼じゃない?あたしはユナ・ハウンド、よーく覚えとけ」  そしてお前のことはキレイさっぱり忘れてやる、ザマァミロ。  
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