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「イファ王子!ご無事ですか!?」
応答も待たず駆け込む勢いで扉を開け、ジークが部屋の主を呼ばわる。
彼はすでに身支度を調え、窓際から王都の街を見ていた。
なんとか平静を保っているようだが、やはりその顔は青ざめていた。
「……ジーク、アイゼン…」
この上ない苦痛に堪えているような、息を詰めた声。
激情を全身で押し殺しているのだろう。
「王は…陛下はどうされた」
「申し訳ありません、私達は聞かされてはいないのです。隊士長から、王子の警護に回るようにとの命があったのみで…」
ジークが言葉を切ると共に、どこからか悲鳴が響いた。
「何が…っ」
あったのだと、イファが部屋を飛び出そうとしたのを、アイゼンが押し止める。
「…ッ!?」
「いけません、王子」
「けれど!」
「今は、王子の身の安全が優先されます」
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