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(どう…しよう)
血流がドクドクと音をたてているかのよう。心拍数が上がる。
「あきらめて、オレらと来いよ。ぶっ飛ぶぐらい、楽しい思いをさせてやるから」
クク、と一人が醜悪な笑みを零した。
(誰か…助けてっ…)
掴まれた腕に、痛さよりも寒気が立つ。抗えない力で引き寄せられ、男二人に挟まれるようにして捕われた。
「いや!離して!誰かッ」
「誰が助けてくれるってんだよ、こんなゴミ溜めでー」
「醜状この上ねーなぁ」
低く、乱暴な台詞が割り込んできた。
男達が不機嫌そうに動きを止める。
「やることがワンパターンすぎて、いい加減飽きる。それで客から金が取れると思ってんのか、時代は常に新しい物を求めてるんだぞ、コノヤロウ」
低く気怠げな声ではあったが、それは少女から発せられたものだった。
17、8くらいの印象で、男達の上をいく不機嫌さだ。
そしてその横で、同じく険しい色を立てた少女が溜め息をついた。
「わたしの言うセリフじゃないけど、一応言っとく。見世物じゃないから」
「冗談デショ。あんな捻りも何もない暴漢、ジョークでもなきゃ見るに堪えないんですけど」
「ユナ、アリス!」
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