イギリスの孤児

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  「マヤ、大丈夫?」 「一人で夜道歩くなんて、危なっかしいんだから…少しは後先考えろっつの」 「大丈夫よアリス。ごめんね、ユナ」  まだ捕まえられたままのマヤが、安堵しながら不機嫌な少女 …ユナに謝った。  それがカンに障ったのか、男が手に更に力を込めて、マヤの腕を掴み上げる。  ギリ、と食い込んだ指が痛みを与えた。 「いッ…離して…!!」  歪むマヤの顔に、ユナが険しい目で男を睨んだ。友人が静かに殺気立つのを見て取り、隣でアリスは無言で見守ることを決意。  止めるだけ、無駄な労力だ。 「ちょうどいい、オトモダチならみんなで一緒に遊ぼうぜ?」 「ああ、このコ一人じゃ寂しいだろうしなぁ」 「全員楽しむ前にブッ壊れちまったら、不公平だしなァ~」  ギャハハ、と品性のかけらもない笑い声は専売特許か。  期待を裏切らないそのセリフと嘲笑に、もはや怒りすらも浮かばなかった。  ただ気に入らないのはマヤを掴むその手。 「文化的な生活を基本とする国民として、とりあえず言葉で交渉してみるけど…」  と、交渉と言う割には、温厚と真逆の双眸を向けるユナ。 「その手離してどっか遠くに消え去ってくれないかな、あたしの記憶から抹消されるほどに」  要約すると、消え失せろ。  
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