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「お前は優しい子だね。」
「お前は根気があって負けず嫌いだね。」
この二つの言葉はガキの頃よく母親から言われていた言葉だ。母親が死んでから半年、実家に帰ればまたいつものように会える気がしてならない。
僕の高校生活は部活一色で染まっていた。地元ではそこそこ実力のある陸上部だ。中学を卒業後、実家から通うには遠すぎる為学校近くにアパートを借りてもらい暮らしている。
部活もそろそろ引退を迎えた頃親父から電話があった。
親父「元気か?今度お母さんまた入院することになったよ。」
慶太「そうなんだ。わかった。」
親父「心配しないでいいからな、風邪ひかない様に元気でやれよ。」
慶太「わかった。」
僕は正直ほとんど心配していなかった。何故ならこれは珍しいことではなく僕が小学生の頃から母親は半年に一回くらい入退院を繰り返していたからだ。今思えばこの時母親が重い病気にかかっていることに気づいてもいいのだが僕は気づきもしなかった。さらに一つ、母親に対する照れくささが邪魔をして気づけなかった。
気にせず、楽しみ、馬鹿見たいに部活に汗を流していた。
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