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駅の裏に住んでいるらしく、美咲さんの後について歩いていく。
美咲さんも正確な場所は知らないようで、駅裏で待ち合わせのようだ。
「美咲さん、美咲さんの働いてるお店ってこの辺なの?」
「んー、歓楽街のほうだよ?
来た事ないっけ?」
「ないない。
歓楽街に行った事もないもん」
「そっかそっか、んじゃ今度来なよ。
安くしてあげるから」
振り返りながら指を唇に当てる。
なんてセクシーなんだ…。
駅の正面まで歩いてきて、あとは駅の中を通って反対側まで歩くだけになった。
その時、俺の眼はある人に釘付けになった。
駅前のベンチに座ってこっちを見ている人。
ブラウンにゴールドのメッシュが入っていて、かなり盛られている。
白のスーツに黒いシャツ。
細いシャンパンゴールドのネクタイにシルバーの時計。
一目で分かった。
忘れるわけがない。
祖父さんと妹と同じくらい大切な人。
荷物を抱えながら走り出していた。
3年ぶりに呼ぶ彼の名前を叫びながら…。
「瑛二!」
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