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「晶!」
「どうしたんだよ!
連絡もくれないで」
瑛二の元に走っていった俺は、荷物を置いて瑛二に手を伸ばした。
二人共握り拳を作り、俺の拳は下、瑛二は上。
俺は軽く振り上げる。
コツンッ
次は瑛二の拳の上に拳を持っていく。
瑛二は待っていたように軽く振り上げる。
コツンッ
その拳を正面で軽くぶつける。
コツンッ
3年ぶりなのに、自然と出たサイン。
なんてゆーのかな、挨拶みたいなもんかな?
「いつこっちに来たんだ?」
「半年くらい前かな?」
「連絡くらいくれたっていいだろう?」
「バカ野郎、晶のトコの社長さんに申し訳がたたねぇよ。
それに…晶とはここで逢いたかった。」
3年前、この場所は俺達のホームだった。
ここに皆自然と集まってくる。
集まったら、いつもの店まで歩く。
瑛二はここから、また歩き出したかったのだろう。
「ずっと待ってたんだ。
…毎日毎日、この場所で晶を…。
これでやっと歩き出せるよ」
そう言って、目が細くなって線になるまで笑う瑛二は、子供の頃から変わってはいなかった。
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