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「おいおい、瑛二、この人は社長の娘さんだ」
「あぁん?
んじゃ彼女じゃないのか?」
肩をすくめて頷く。
「あら、私は彼女でもいいのよ?」
「ちょ、美咲さん!
からかわないでくださいよ」
今の俺の顔は赤く染まっているだろうか?
美咲さんには、いつもペースを乱される。
瑛二は何やら「はは~ん」的な顔をしているが、この際それはシカトの方向で。
美咲さんと瑛二に挟まれたら、ペースが乱されるなんてもんじゃない。
「晶、この後は何するんだ?」
「とりあえず美咲さんの荷物を預けたら帰るけど?」
「家行っていい?
久々の再開だ、飲もうぜ?」
「おー、飲もう飲もう。
ちょい待ってろ、預けてからだ」
「あのぉ…美咲さん?」
急に声をかけられて、ビクッとなる一同。
「…あぁ、千瀬!
ビックリするじゃない」
「東口で待ってたんですけど、なかなか来ないから探しに来ました」
そう言って笑うのは、美咲さんのキャバでの後輩の千瀬という女の人。
小さくて、フワフワにかけられたパーマがよく似合うガーリーな女の子って感じ。
その千瀬がこちらを見て言う。
「へー、どっちが美咲さんの本彼ですか?」
「違うわよ、どっちも。
うちの親父の会社の職員の子と、その友達」
違うわよ…ちょっと胸にチクりとくるフレーズ。
さっきは「私は彼女でもいいのよ?」って言ったのに。
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