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「初めまして、晶です」
「瑛二です」
そう言って頭を下げる俺と瑛二。
昔は人に頭を下げるなんて考えられなかったのに…
互いに大人になったのだと気づく。
「どうもー、千瀬でーす。
二人共素敵なメンズですねー」
妙に伸ばすイントネーションに違和感を拭いきれない。
キャバ嬢ってこんな感じなのか?
…いや、美咲さんはそんな事ないもんな。
「千瀬、ありがとうね。
今度、いい客の時にヘルプつけるから」
「美咲さんの頼みなんてー、むしろ光栄ですー。
んじゃ、マンションこっちなんでー」
そう言って、誘導してあるく千瀬。
チョコチョコと歩き、時折振り返っては笑顔を振りまく。
きっと彼女は、同性にはすこぶる嫌われると思う。
きっと彼女は、異性にはすこぶる好かれると思う。
天然なのか計算なのか分からないけど、ナチュラルに見えていた。
荷物を預けてバイクに跨る。
美咲さんが乗ったのを確認して、瑛二に声をかけた。
「瑛二、後ついて来いよ!」
「おぉ、安全運転でな!」
俺のビラーゴの安い音と、瑛二のハーレーの重低音に負けないように大声で話す。
そして帰路へとついた。
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