5人が本棚に入れています
本棚に追加
ビビって無防備に突っ込んできた男の顔に瑛二の蹴りが入る。
気を失ったのであろう、白目を向いた男はそのまま瑛二に体を預けた。
相手が気を失った事で一瞬緩んだ瑛二の気。
預けられた体重に負け、後ろに倒れてしまう。
腹の上に頭を乗せ、動かない男。
ニヤリと笑いながら走ってくる男。
持っていたナイフで、瑛二の右足の太股をえぐる。
それに耐えて声を漏らさない瑛二。
そこで「やめてください」「すいませんでした」そんな事を言えば止めてもらえたかもしれない。
それは瑛二のプライドが許さない。
怒りに任せ、ナイフを持った男は振り下げる。
それから逃れようとする瑛二は痛む右足を持ち上げた。
バチィィィィン…
あまりの音の大きさに、気を失って瑛二にのし掛かっていた男も目を覚ました。
「うがぁぁあぁあぁぁ!」
アキレス腱が切れ、全身を駆け回る激痛にのた打ちまわる瑛二を見て、自分がした事の重大性に気づいた男は、慌てて逃げ出した。
そして、燕は飛べなくなった。
いや、飛ぼうとはしなかった。
根気よく治療して、リハビリをすれば飛べたんだ。
燕はそれを拒んだ。
最初のコメントを投稿しよう!