渾名ーAdanaー

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…………………‥・ 「なっ? だから勝てないって言ったろ?」 その後、案の定足が止まった瑛二に大差で圧勝。 正直、瑛二相手にここまで大差で勝ったのは初めてで嬉しい。 病み上がり相手に何が嬉しいって? はっ、病み上がりだろうが勝ちは勝ちだろって。 「ゼェ…ゼェ…クソッタレ…ゼェ。」 「これ賭けだろ? 何してもらおうかなぁ…」 「ゼェ…なんでも言いやがれ。 ハァハァ…だが晶、すまんがもう一勝負してくれ」 「おいおい、バスケじゃ勝てないぜ?」 「ハァハァ…バスケは体力つけたらもう一回な。 次は飲み勝負だ」 正直、飲みは瑛二に負けた事がなかった。 あの街で飲んでた頃、先に潰れてはいつも瑛二。 それをおぶって帰った事だってあるくらいだ。 「上等だね。 ぶっ潰してやるよ」 「おーおー怖い。 期待してるよ」 不気味な笑いを見せる瑛二に、ちょっとゾッとした。 怖いとかじゃない。 少し昔とは違う瑛二が見えた気がしただけだ。 「それ、私も付き合っていい?」 「美咲さん、今日仕事じゃないの?」 「今日は休み。 ダメ?」 「もちろん構いませんよ。 なぁ晶?」 「瑛二がいいなら良いけど」 夜になるのを待ち、行きつけの居酒屋へ向かった。
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