始動-Shidou-

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「あー…気持ち悪ぃ…」 二人の男に両脇から支えられながら、部屋の中に入れてもらう。 そのままトイレで…胃の中の物達とさようなら。 「豹さん、大丈夫ですか?」 「うっげぇぇぇえっ! …うん、大丈夫」 絶対大丈夫じゃないし。 マジキツいって。 瑛二からホストに誘われて、1ヶ月が経った。 今じゃclub ACTの新人ホストであります。 社長…いや、親父を説得するのに時間はかからなかった。 むしろ秒殺。 「勝手にしろ」 一言で済まされた。 そこから話かけても「あー」とか「うん」とかしか返ってこなくなり、嫌われたんだと思った。 そりゃそうだ、6年も面倒みてやったのに、「ホストになります。出てきます。ありがとうございました」じゃ面白くないよな。 2週間の引き継ぎがあって、最後の日。 家に挨拶に行った。 工場の2階の俺の部屋の荷物は引っ越したら片付けにくる事、会わせる顔がないからしばらくここには来ない事を告げた。 そしたら親父はなんて言ったと思う? 「バカ野郎、あんな部屋は誰も使わないから、そのままにしとけ。 それに会いになんか来なくて結構だ。 だってお前がここに来る時は、〝会い〟に来るんじゃなくて、〝帰って〟くるんだからな」
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