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距離は離れてはいるが、両方とも移動は走輪式だ。すぐに射程距離に入る。
先制を取ったのは左に位置するルーシー少尉だ。右腕の30mmガトリング砲を、わざとロシア軍歩行戦車ペトルーシュカの一歩手前に斉射した。
ペトルーシュカは怯み、一瞬だけ動きが鈍くなる。
そこを逃さずアラン少尉が砲撃を加えた。先頭のペトルーシュカは、30mmガトリング砲に下半身を抉られて崩れ落ちた。
敵の数は6機とこちらより多かったが、まずは1機撃破。その勢いに乗って、自分たちは苛烈な攻撃を行う。
ロシア軍は2機1組で連携する予定であったが、先に片割れを撃破されたペトルーシュカが焦って急速前進する。
ルーシー少尉とアラン少尉に後列の4機の牽制をさせると、僕は急速前進する機体のコクピットを撃ち抜いた。これでほぼ同数である。
「隊長、こりゃどうやらグルジア軍もロシア軍も実戦不足ですな」
アラン少尉が苦々しげに言った。実際そうだ。数で押すグルジア軍は攻めあぐねいているが、数で劣る駐屯軍は互角以上に戦っている。対人でしか動かしていないとしても、この差は大きい。
「アラン少尉、気を抜くな。我々も対歩行戦車は初めてなのだからな――くっ!」
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