幽霊船

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一般的に幽霊船と言えば、乗組員が幽霊になってもなお、航海し続けている船と言うイメージがあるが、大抵は怪談の類いだとされている。 しかし、政府により幽霊船と認定された船がある。 その船の名はベイチモ号。 1914年にスウェーデンで造られ、長さ70.15m、重さ1322tの鋼鉄製蒸気貨物船である。 ベイチモ号はその後イギリスに引き取られ活躍したが、1931年にアラスカ周辺の海上で氷に囲まれ身動きがとれなくなり、このままだと沈没すると判断した乗組員は、船を乗り捨て避難した。 しかし船は沈没するどころか、誰も乗っていないにも関わらず、自力で氷の海を突破し水平線へと消えていった。 その後、何度もベイチモ号は海上で確認され、その度に回収しようとしても天候や氷に邪魔され、そして意志を持っているかの如く、回収船を避けるようにして、いつの間にか消えてしまう。 最後に確認されたのが1969年なので、実に38年間も海の上をさ迷い続けていたのである。 2006年にアラスカ政府が正式にベイチモ号を幽霊船と認定し、探索プロジェクトを実行したが結局見つからなかった。 今では、さすがに沈没してしまっただろうというのが専門家達の見解だが、もしかしたら今もどこかの海をさ迷っているかもしれない…。
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