プロローグ 自己紹介がわりに回想――元真面目少年でした。

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それからだ。 転校生の彼女に連れ回され始めたのは。 放課後に帰り支度をしていた時、彼女に町のことがわからないから案内をしてと頼まれて、いやな予感がするも頼まれるとノーと言えない性格からしぶしぶ承諾したのが悪かった。 町中を夕方まで連れ回した上、塾の時間が過ぎて焦りまくる俺を澄ました顔で「家来はわたしの言うことを聞けばいいのよ」ときたもんだ。 彼女の言葉にムカッときた俺は、彼女を置いて塾に行ってしまった。 次の日。 置いていった罪悪感を抱えながら教室に入った途端、彼女がクラスメイトに昨日俺が置いていったことをペラペラと嘘を混ぜながらしゃべっていた。 そのときの俺を見るクラスメイトの視線が冷たかったのが昨日のことのように思い出すね。 そのあと、何故かやっていないことで彼女の謝るハメになったんだ。 彼女は俺を許す代わりにある条件を突き付けた。 その条件とは、彼女の計画を手伝うことだった。 この条件を呑まなければ、世間から不良と呼ばれることなく真面目な学者人生を終えていたのかもしれない。 ホント、人間の人生というものはなにが起こるかわからないな。
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