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女性の名前は中川志保といい被害者の妻である。この家には被害者とこの志保しか住んでおらず事件当日も他に家に入ったものもいないというのが今のところの見解だ。
女性は山部と木村を家の中のリビングに入れるとミルクティーとビスケットを出した。
木村達をもてなす指はきれいでその指には結婚指輪がつけられていた。
リビングにはほとんどモノがなく、大きなテレビや木村達が座っているソファーとテーブル、後は段ボールが何個か積んであった。部屋のエアコンはかかっておらず、窓が全開で風通しは良かった。
「こんなものしかなくてごめんなさいね」志保がきれいな歯を見せ微笑みながら言った。
「わ~い!!お菓子、お菓子」
そう言いながら山部はビスケットを頬ばる。
そんな山部を見て志保は引きつった笑顔で見る。
「ちょっと」
木村がとめようとするが山部は気にせずに食べる。
木村はあきれながらごまかすように志保に聞いた。
「引っ越しなされるのですか?」
「えぇもぅこの家には住めませんし建て替えるのも面倒なので売ってしまいます。」
志保は笑顔で受ける。
よく見ると笑顔と一緒にえくぼが出ていてより一層きれいに見えた。
「では次はどちらえ」
木村が聞いた
「今は近くのホテルに泊まってますが、この家の片づけをすませたら実家の母の所に行こうと思っています。」
「そうなのですか」
木村がそう言うと
「私にはもう何もかもを失いましたから。」
彼女は虚ろな笑顔で答えた。
木村が何も言えずにいると志保が言った。
「で、今日はどういった要件で??」
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