その男、最悪

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「ねぇ? なんなの? 俺急いでんだけど、それとも何? 俺に一目惚れしちゃった? そういえば君、よく見たらめっちゃ可愛いね。じゃあこうしない? とりあえず俺、用事済ませてくるから、そのあとにお茶――」  リオンの言葉はユーリィには全く聞こえていない。  リオンが長々と話している間に覚悟を決めたユーリィはがっ、と背中に背負った慣れ親しんだ大剣の柄を掴み、リオンの頭目掛け、一気に引き抜いた。 「――リオン・ストラウス、覚悟ォォオオオオオ!!」 「……へ?」  空まで響き渡る轟音を響かせ、リオンの頭頂部にユーリィの大剣が炸裂した。 (当たった!!)  さすがのS級賞金首もこの一撃は予想外だったらしい。  鞘は付いていたものの、大剣の一振りを喰らったリオンは目をあらぬ方向にやり、足元をふらつかせた。 「い……いっひゃい、なひほ……」  舌を噛んだのか、頭をやられたのか、ろれつの回らないリオン。 「ちっ!! しぶとい!!」  リオンの意識があると見るや、ユーリィはトドメを刺そうと再び大剣を脳天へと振り下ろした。 「ぐふぅお!!」  その一撃もまともに喰らってしまったリオンは耐え切れずに地面に倒れた。 「はー、はー……これでどうだ」  ユーリィは息も切れ切れだ。何せ相手は少年とは言え、S級賞金首。そのプレッシャーたるや尋常ではないだろう。 「だ……だひゃら、なひほ……」 「まだ息があるのか!!」  さらにユーリィは倒れているリオンに情け容赦なく何度も何度も大剣を振り下ろした。外から見たら何と言う非人道的光景だろうか。  しかし何度も言うが、相手はS級賞金首。油断してはユーリィの命がいつ取られるかもしれない。確実に勝利を掴まねばならないのだ。
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