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少年は泣いていた。
幾千、幾万の死体の山の上で膝をつき、いつ終わるとも知れない涙を流していた。
どれだけ涙を流そうと、彼の鎧に付いた血は落ちてくれない。
まるで彼の後悔や未練のように体にまとわり、彼を掴んで離さない。
彼に出来るのは己が不幸を嘆き、友の死を悲しみ、世界の無情さを怨み、見た事もない神を呪い、ただただ叫ぶ事だけである。
だが、この少年の叫びがこの広い世界に届く事はなかった――。
――それから四年の月日が過ぎた。
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