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よく見れば背中に大剣を背負っている少女はその笑い声がカンに障るらしく、舌打ちをしていた。
「だっーはっはっは!! こんな嬢ちゃんが賞金稼ぎだなんて世も末だな!! なぁ、オイ!!」
ウリナが団員に同意を求めると、団員達はしきりに頷いた。
「それじゃ、闘るか!? 俺の首を取りに来たんだろ! ちょうど俺達も女に飢えてたしな!!」
ウリナはそう言ったが、油断しきって、立っている。武器を出す様子もない。
どうせこの男には自分を手籠にする事しか頭にないのだろう。少女はそう思った。
少女は吐き気を押さえて、ゆっくり大剣を抜き去り……と言っても鞘を付けたままで、その大剣を正眼に構えた。
「では行くぞ」
「おうおう。かかってこ……」
少女はウリナの言葉が終わる前に、ウリナに向かって駆け出した。
その速さたるや、ウリナが少女の存在を見失う程。
ウリナが少女を再び見つけた時にはすでに少女は、ウリナの腹に、鞘のままの大剣をめり込ませていた。
「うがっ――!!」
「寝てろ、目障りだ」
少女はウリナの巨体をいとも簡単に古びた壁へと吹き飛ばした。
その勢いは壁を破壊するだけでは収まらず、遥か外へとウリナを飛ばしていった。
何度も転がり、ようやく止まったウリナはそれ以上動く事はなかった。
「ボ、ボス!!」
団員達は予期せぬ団長の敗北に動揺している。
「――で、お前らはどうする? あの男のように痛い目を見るか、それとも大人しく私と憲兵所に向かうか?」
団員達に大剣をちらつかせながら、少女は言う。
外でノビているウリナの姿を見る限り、団員達の選ぶ選択肢はどうやら一つのようだった。
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