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(そういえば……そろそろ新しい手配書を貰わないとな)
三年前、賞金稼ぎになった時に貰った手配書をユーリィはぱらぱらとめくり始めた。
ページをめくるにつれ、E級、D級、C級……と手配者の危険度を表す等級が高くなっていく。
突然、ユーリィの手が止まった。
手が止まったのは”S級”賞金首の情報が載っているページだった。
S級賞金首――それは国ではもはや手に負えない究極の無法者達である。
その誰もが伝説的な風評や、超絶的な実力を有しており、並の賞金稼ぎでは目の前に立つ事も許されない。
もちろん報奨金はそれに見合った額が懸けられていて、それは国一つ楽に買える程である。
手配書の写真からも恐ろしい威圧感を発せられている。それが彼女の手を止めたのだ。
ユーリィは何の気無しにS級賞金首達に懸けられている懸賞金の0の数を数えてみた。
「……これぐらいあれば、借金も返せるし、昔の暮らしに戻れる。いや、昔より――」
だが、それが現実味のない話だという事をユーリィは重々承知していた。
いくら剣の腕が立つとはいえ、S級賞金首と闘えるまでとは言えない。
彼らは伝説の中に生きる生き物だ。次元が違う。自分ではせいぜいB級が精一杯だろう。
何だか落ち込む事ばかり考えてしまうな、とユーリィが本を閉じようとした時、彼女の背中を衝撃が襲った。
「痛っ!!」
「うわっ!!」
そこまで強い衝撃ではない事もあったが、ユーリィは何とか踏ん張り、倒れずにすんだ。しかし、持っていた手配書は前方へと投げ出されてしまった。
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