33人が本棚に入れています
本棚に追加
新隊長はメットを取ったフィオの方を見て驚愕する。
「なっ、フィオ!?」
「?」
新隊長の叫びに、フィオは首を傾げた。
逢った事もない人物が、行き成り自分の愛称を叫んだからだ。
しかし新隊長は首を何度か振り、少し寂しそうに呟いた。
「そんな筈がない……か」
勝手に驚き、勝手に自己完結して納得したらしい。
「済まないな、知り合いによく似てたんだ」
「知り合いにって、じゃあどうしてフィオの愛称を?」
セリアスの言葉に、新隊長は驚いた表情になる。
「そっか、君の愛称もフィオ……なのか。通信した時はメットを被っていたから気が付かなかったよ」
懐かしそうに、感慨深く、それでいて悲しそうな、そんな複雑な表情でフィオを見ていた。
あの時、彼は墜ちる前に機体へと搭乗し、墜ちかけていたフィオの機体に通信を入れている。
受け止めるから爆発する前に飛び出して、自分の担いだ機体に乗り換えろと。
フィオはどの道死ぬ状況を鑑み、言われた通りにファルコンから飛び出した。
そして、漆黒の機体が担いでいた白銀の機体のコクピットへと潜り込み、個人認証を行う。
機体自体は自動索敵・迎撃システムで勝手に戦っていたが、それも誰かが乗って認証しなければ動かなかったのだろう。
詰まりフィオは認証だけ行って、後は機体がプログラムに従い戦っていたのだ。
「自己紹介が遅れたな。
俺の名前は日乃森シオン、階級は中佐だ」
シオンが自分の官姓名を名乗る。
.
最初のコメントを投稿しよう!