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フィオナ・エルミアは、朝早くに起床する。
未だ、午前五時だというのに既に基地内を動き回っていた。
「おはようエルミア曹長、どうしたんだ? 訓練は6時からだ。まだ一時間はあるぞ」
同じく既に起床し、システムの調整をしていたシオンがフィオを見掛け訊ねる。
「お早うございます日乃森中佐、私の事はフィオでよろしいですよ?」
抑揚の無い喋り方で挨拶を返してくる。
「そうか? そういやヘリオン達も名前で良いっていってたかな?」
「ハイなのです」
フランクな性格のヘリオン達は、きっと堅苦しいのが苦手なのだろう。
ヘリオンとセリアスも又、名前で呼んで欲しいとシオンに頼んでいた。
「質問に答えるなら、私は散歩中なのです」
「散歩?」
「ヘル達から、外には出歩かない様にと言われているのです」
フィオは目が視えない為、心配したヘリオンとセリアスが外に出るのを制限したのだ。
物静かそうなフィオナ・エルミアだが、割とアグレッシブに動き回るタイプで、朝の散歩を訓練前の日課としている。
「そうなのか、じゃあ訓練の時間になったら出て来いよ?」
「了解なのです」
フィオは敬礼してその場を離れるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それから30分が経ち……
ヘリオンの部屋の前に来ると、テンキーを操作してロックを解除するフィオ。
扉はロックさえ解除されれば、自動的に開く。
未だに寝ていたヘリオンと“セリアス”の身体を揺らしてフィオは起こす。
「ヘル、リア、起きるのですよ~」
慌てて2人が起きたのは、言う迄もないだろう。
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