朱き騎士の帰還

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「どうしたのよヘリオン、難しい顔して?」 妙に厳しい表情で立っている。先程まで冗談交じりに笑っていた者と同一人物には思えないくらいだ。 「忘れたのかよ、少佐の前に隊長として来やがったアノ野郎の事を!」 「! 忘れるわけないじゃない、アイツのやろうとした事っ」 『アイツ』とは北 矩継(きたのりつぐ)大尉の事で、一年前までヘリオン達の部隊で隊長の職に在ったが、“とある事件”を起こして懲戒処分を受けた男だ。 ヘリオンはフィオの方を見ながら憤る。 「新しい隊長がアノ野郎みたいな奴だったら……」 「そうだね、護ってあげなくちゃいけないわね」 フィオのウェイブが掛かった長い銀髪を撫でながら、ヘリオンの意見に賛同するセリアス。 「おいおい、あまり物騒な事を言っているなよ? 下手打てば今度クビが飛ぶのはお前達だぞ」 傍で聴いていた源治が警告を出す。 予めどんな人物なのか簡単なプロフィールを見せられている為、どうやら手を出せばヤバそうな相手だと踏んだらしい。 「何れにせよこの人事は決定事項だ、正午12:00に到着予定だから空港でその時間までに待機だ!」 「了解ッス。けどこっちの予定も変わらねぇですよ!」 「同じく」 2人共譲らない。 「ハァ……」 源治はヘリオンとセリアスの言葉に、盛大な溜息を吐くのだった。 .
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