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  《ザ---------…》 『丸い虹って見た事あるか?』 『…丸い虹?…無いけど、何それ?』  俺が覚えている、義兄とまともに話した記憶… 《ザ------…》  あの日もこんな雨の日で…  ゲーセンに帰りの電車賃まで注ぎ込み迎えを頼もうと電話をかけたら、たまたま家に来ていたこの人が迎えに来てくれた。 『じゃ、二重になった虹は?』 『…無い…です。そもそも、虹自体あんまり見ないし。』 『そっか…なら今日は運がいいね。ほら、あそこ見てみて。』  俺が中学3年でこの人は大学1年  年も離れてたし自分とは全然違う気難しそうなこの人と、俺はどう接したらいいのか分からなかった。  それはこの人も同じだったみたいで、まともに話したのはあの時ぐらいしかない。 「丸い虹か…そんなの本当にあるのかな?」  そう呟いてみても、目の前に横たわっているこの人は何の反応も示さない。  起きたら起きたで何を話したらいいのか分からないけど… (…あるんたろんな…多分)  あの時見た二重の虹、驚く俺に嬉しそうにしていたこの人。 (この人のあんな顔見たのあの時が初めてだっけ…)  今はまるで死んでるようにぐっすり眠っているが、胸が上下に動き生きている事を教えてくれる。  麻酔が切れるまでもう少しかかるらしい  病室に響いていた雨音がパラパラという軽い音に代わり外を見れば、雲間から光が差していた。 (…遅いな…母さん達…)  俺は窓際に立ちやる事もなく俺はぼー…っと空を眺める。 (…なんで俺…ここにいんだろ?…そりゃまぁ…家族…だからだろうな…)  自問自答すればあっさり答えは見付かって、その答えに何となくため息が出た。  この人の事は嫌いじゃないし…母さんも結婚して幸せそうで良かったと思う  だけど…  言葉に出来ない違和感が俺の中にあって  何故か無性に虹が見たくなった。 「…虹…でるかな?」  呟いても反応は無い 「見てみたいな…丸い虹…」  この人が目覚める頃には空は晴れて虹を見る事が出来るだろうか?  虹を見る事が出来たら、あの時みたいにこの違和感が  消えてくれるのかな?  虹を見たところで何も変わらないだろうと分かっているのに、俺は母さん達が来るまで窓際に立って空を眺めていた。  でもしない虹を待ちながら…  
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