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それ以降の感想は、いたって簡単。
これはマンガか。
ボールが低く跳ねると同時に、来島は5メートルは前にいた。
パサッ、と乾いた音と共に、来島の投げたボールがリングをくぐった。
誰も、動かなかった。女子も黄色い声をとめていた。
落ちたボールが何度か跳ねる音しかしなかった。
来島暁は、静かで、すべてのことが普通程度の男。
それが、いろいろと覆った。
「…うん? どうしたの?」
来島が言って、ボールを拾いあげた。
「まだ時間あるよね? …始めてもいい?」
来島は、にっこりと笑った。目の奥にいる真っ黒な蛇を隠すために。
「……あれ? もしかして何かファールした?」
だが、心配そうにキョロキョロする姿から、来島はやっぱり来島だった。
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