悪友、嘉本千代

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「………あんたはねえ…」 授業後の教室、前にいる男に言った。 「あんな目立ってどうすんのよ!」 文句を垂れると、笑顔を思わせる声で答えた。 「体育で活躍する、って話だったじゃん。」 「やりすぎ!!」 あの後、一人で30点も入れてしまったのだ。10分のゲームで。 「限度ってものを考えなさい。日頃の行動とのギャップがひどいわ。」 「ギャップ萌えって言葉あるよね。」 「…あんたの脳の辞書、どうなってんの?」 来島としょうもない話をしていると、私の隣で携帯をガチガチ打っていたチシが、うっし!とガッツポーズを決めた。 「シオ、体育館行くよ」 「はぁ?」 突然立ち上がったチシは、鞄に教科書を詰めていく。 「テニス部長で生徒会副会長で特待生の先輩に会いに!」 私の頭のそろばんが、一気に動く。 生徒会副会長様と言えば3年の落合諦様ですよね成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗で、ついでに優しいという!! つまり、私の理想に一番近い人だ。 .
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