片想い、来島暁

5/11
前へ
/73ページ
次へ
何か話さなくちゃいけないかな。 いつもより少しだけ近い距離を歩きながら、うつむいたままにそう思った。 会話がない二人の間に、雨の音がバタバタと落ちてきていた。 ……思っていたより、来島の背が高い。 小動物かと思っていたら、予想以上に男子だから困る。小さくまとまってろよ。 来島の顔を見ると、長い前髪でほとんど表情が見えなかった。 「あ」 私が言うと、来島が驚いて私を見た。そんなに意味のあることでもないのに。 「どうしたの?」 「あんた、変なところにホクロあるね」 来島がすぐに真っ赤になって、首を抑えた。 .
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加