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何か話さなくちゃいけないかな。
いつもより少しだけ近い距離を歩きながら、うつむいたままにそう思った。
会話がない二人の間に、雨の音がバタバタと落ちてきていた。
……思っていたより、来島の背が高い。
小動物かと思っていたら、予想以上に男子だから困る。小さくまとまってろよ。
来島の顔を見ると、長い前髪でほとんど表情が見えなかった。
「あ」
私が言うと、来島が驚いて私を見た。そんなに意味のあることでもないのに。
「どうしたの?」
「あんた、変なところにホクロあるね」
来島がすぐに真っ赤になって、首を抑えた。
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