30人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、来島はいつまでも顔を上げない。
「……何よ?」
何か、変なことを言ったのかと不安になる。
「いや、ふと気になって」
顔を上げた来島が、空中に文字を描く。
「足元掬われるって、こういう漢字だよね」
この前のテストで見たので頷くと、今度は違う漢字を描き始めた。
「巣食われるだったら怖くない?」
「……だからどうしたのよ」
「意味はないけど、足元巣食われたら怖いじゃん」
「何に?」
「うーん……ウジ虫?」
想像してみた。食欲失せた。
「……あんたって滅法変わってるわ」
「そう? ありがとう」
「誉めてない!」
そんなことで、昼は過ぎていった。
.
最初のコメントを投稿しよう!