会長、安城桃子

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だが、来島はいつまでも顔を上げない。 「……何よ?」 何か、変なことを言ったのかと不安になる。 「いや、ふと気になって」 顔を上げた来島が、空中に文字を描く。 「足元掬われるって、こういう漢字だよね」 この前のテストで見たので頷くと、今度は違う漢字を描き始めた。 「巣食われるだったら怖くない?」 「……だからどうしたのよ」 「意味はないけど、足元巣食われたら怖いじゃん」 「何に?」 「うーん……ウジ虫?」 想像してみた。食欲失せた。 「……あんたって滅法変わってるわ」 「そう? ありがとう」 「誉めてない!」 そんなことで、昼は過ぎていった。 .
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