会長、安城桃子

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仲直りをした私たちを見て、チシの一言は、 「ああ、もう勝手にしてくれ」 だった。 どうにか元の鞘に収まったが、問題は待ってくれないようだった。 「あかつきー」 放課後、教室の窓から落合先輩が声をかけた。 まだ多少残っていた生徒たちは、クラスで全く目立たない来島に、学校で一番有名な男が声をかけたことに驚いていた。 「なんですか?」 ほとんど無表情の声で、来島は落合先輩に近付いた。 何か話しているが、私には聞こえない。 「なんだろうね……というか、あの二人って接点あるんだね」 「ああ、昔からの知り合いらしいよ」 こんな感じの嘘ならわかってもらえるかな、と、少し心を痛めながら言う。 嘘はね、嫌いなんだよ。 .
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