30人が本棚に入れています
本棚に追加
「ご苦労、諦」
綺麗なストレートの黒髪に、少しきつめの瞳。
「私は、生徒会長をやらせてもらっている。安城桃子だ……知っているか」
生徒会長の名前なら、私だって知っていた。
「あの、生徒会長が来島に、何の用ですか?」
私が聞くと、生徒会長は私を見た。少し、怖かった。
「君は……?」
「あ、来島と同じクラスの、朝風潮那っていいます」
「朝風、潮那くんか。いい名だ」
会長は、端正に笑った。すごい綺麗だった。
「名にも性にも、朝がある。きっと、明るい人なのだろう」
その、丁寧な誉め言葉は、嫌に嬉しかった。
「さて、来島暁くん。今回は君に、折り入って頼みがあるのだよ」
だから、会長の言葉に対する反応が遅れた。
.
最初のコメントを投稿しよう!