10人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
もう何も見えない。
───真っ暗だ。
弘樹は、しきりに自分の腕時計を見た。
━━只今の時刻。
夜の9:30分。
弘樹は、あのとてつもない約束をしてから、落ち着いていられなかった。
自分の部屋で漫画を読んで、30秒でまた違うことを始める。
今頃、三日坊主は自己最短の記録を余裕で抜かれて悔しがっているだろう。
自分の部屋でもそわそわしてるもんだから、ついに待ち合わせ時間の1時間前に家を出てしまった。
家から学校まではおよそ15分。
今、こいつは待ちぼうけをくらっている。
「あ〰…智も直も遅いし…!!」
要は、自分が早すぎた八つ当たりである。
そんな事をしてると、ようやく、時刻は9:50になった。
すると、向こうの道から人影を発見。
思わず戦闘体制に入る弘樹。
しかし、その必要はまったくなく、来たのは、
とびきりの笑顔で駆けてくる直。
とびきりの笑顔だ。
とびきりの。
弘樹は、こいつがもしや世の中で一番恐い奴だと確信した。
最初のコメントを投稿しよう!