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厳かな卒業式
微かに聞こえる名残を惜しむ泣き声
雀の涙ほども涙腺は緩まず
私は無表情のまま卒業式を早く終わるのを願った
泣いているクラスメートを眺めながら
鞄を持って屋上に向かう。
途中で最後のオレンジジュースを三本も買う。
最後の贅沢だから。
自分に言い訳しながら、寒い屋上の扉を開ける
「ようやく卒業だぁ…」
寒い風を受けながら、ごろんと仰向けになる
青い空
「ああ、綺麗だなぁ…」
もちろん桜は咲いていないけれど
私の目の前には桜が満開なのを想像する
冷たい砂粒がたっぷりのコンクリートが太股をひんやりさせる
想像を目の前に強引に描いた。
「綺麗…」
桜の花びらが舞っていて、すごい綺麗
「私ね、大学に行くの…」
青い空に舞う花びらに言葉を投げる
「桜とオレンジジュースに心を半分 残していくよ。後の半分は前に進ませていくの」
オレンジジュースを味わいながら、胸に手を当てる。
ここにいたような辛いことがあるかもしれない。
でも、前に進めるように
生きていけるように
未来が明るいものであるように
歩いていくよ
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