贈り物

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「洋…もしも、私が死んだらどうする?」 俺は息を呑んだ。 今、なんて言った? 「私が、死んだら…」 「止せ」 知らないうちに、言葉を発していた。 こいつは、なんで今こんな事を言う? 「あはは…ごめ…っ…」 今度こそ、驚いた。 更紗は泣いている。 一体何があった? 「っ…私ね、自分が嫌い、なの…嫌で、嫌で…最近自分がすごく、嫌な人間になっていく気がするの…」 「そんなことない」 だが、更紗は頭を振って否定した。 「違うの…私…人の不幸を願っちゃうなんて…変、だよ…」 ぽたぽたと涙が机に落ちる。 更紗は顔を手で覆った。 「嫌いな人間なんて、いて当然だ。全然変じゃない。更紗は、間違ってない」 「でも、みんなが私らしくない…って……」 「『みんな』が解ってないだけだ。本当の更紗を知らないだけだ。表面だけ見て、知ろうとしてない。更紗だって人間なんだから」 更紗は、笑った。 泣きながら、笑った。 「ありがとう」
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