幸せ

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机に向かって原稿用紙にペンを走らせる。 今書いてるのは、小説だ。 将来の夢が小説家なんて、大分恥ずかしい。 だが、読むのも書くのも好きだ。 不意に、横にあった携帯が震えた。 『着信あり 由美』 電話だ。 なんでまた? しかも、由美からなんて珍しい。 「もしもし?」 『洋!?大変なの!!更紗が…更紗が今日の帰り道、事故に遭って…とにかく早く来て!!』 「な……っ…」 頭が真っ白になった。 だが、それは由美の声によってすぐに現実に戻される。 『洋、落ち着いて!!お願いだからそこで放心状態にならないで!!今どこ!?』 「由美、お前が落ち着け!今俺は家だ。更紗はどこに…」 『県立病院よ!!出来るかぎり急いで…!!』 俺は無我夢中で走った。 母や姉に説明する暇はなかった。 コートだけを羽織った俺は、走って10分ほどにある病院についた。 「洋!!」 入るとすぐに、正紀がいた。 すぐ後ろに由美もいる。 「正紀、由美…更紗は…」 「意識不明の重体…手術が終わって、今はICUにいる」 夢だ。 こんなことが、現実にありえるはずがない。
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