15人が本棚に入れています
本棚に追加
机に向かって原稿用紙にペンを走らせる。
今書いてるのは、小説だ。
将来の夢が小説家なんて、大分恥ずかしい。
だが、読むのも書くのも好きだ。
不意に、横にあった携帯が震えた。
『着信あり 由美』
電話だ。
なんでまた?
しかも、由美からなんて珍しい。
「もしもし?」
『洋!?大変なの!!更紗が…更紗が今日の帰り道、事故に遭って…とにかく早く来て!!』
「な……っ…」
頭が真っ白になった。
だが、それは由美の声によってすぐに現実に戻される。
『洋、落ち着いて!!お願いだからそこで放心状態にならないで!!今どこ!?』
「由美、お前が落ち着け!今俺は家だ。更紗はどこに…」
『県立病院よ!!出来るかぎり急いで…!!』
俺は無我夢中で走った。
母や姉に説明する暇はなかった。
コートだけを羽織った俺は、走って10分ほどにある病院についた。
「洋!!」
入るとすぐに、正紀がいた。
すぐ後ろに由美もいる。
「正紀、由美…更紗は…」
「意識不明の重体…手術が終わって、今はICUにいる」
夢だ。
こんなことが、現実にありえるはずがない。
最初のコメントを投稿しよう!